(SOLD)浪月水鳥蒔絵硯箱


加賀蒔絵の硯箱です。加賀蒔絵は京都の蒔絵師、五十嵐道甫(生年不明・1678年没)を招聘することにはじまり、その特色は技術的に精巧であること、蒔絵面に大きく余白をとること、珊瑚や貝片などの貼りつけを用いることなどが挙げられます。

この硯箱は、珊瑚や貝の代わりに、繊細な金工を貼りつけています。岩上に片足立つ水鳥がそれであり、蒔絵面から浮き上がるように強調された表現は、一級の芸術と申せます。腕の良い金工師による、端正で的を得た姿と、繊細に施された鍍金部分がきらりと光ります。

上部の月は、狩野派のすぐれた作品を見るような、惚れ惚れとする蒔絵表現の画幅です。雲が渦巻き、銀泥や金箔を効果的に散らしている。

また蓋裏も見ごたえがあります。紫陽花をまとう小塀のほうへ可愛い金工の蜂が一匹飛んでいます。

さらに蓋上面の隅部は、沃懸地蒔絵によって縁取られ、唐草がめぐり、丸紋が散らされています。

すみずみまで妥協なく贅を凝らされた、まさに日本の美の凝縮と言いたいような、近世蒔絵の優品として、おすすめします。

割れ、痛み、補修などのないコンディションのすばらしさも特筆すべきです。なお、1995年に京都国立博物館で開催された「蒔絵 漆黒と黄金の日本美」に同時代の加賀蒔絵硯箱が掲載されており、参考画像を付しました。余白の活かし方、月や雲の表現、沃懸地蒔絵の縁取りなどに、やはり加賀蒔絵ならではの洗練されたデザインが見られます。

ご売約ありがとうございました。

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