朝鮮唐津茶碗です。松浦系岳野窯の産にて、桃山期の豪放さは失われておりますが、下膨れの温雅で愛らしい素直な碗相に、青い炎がたち上るような幻想的な釉調が現れており、これもまた見事な古唐津、と臆面なく呼びたい品物です。
平凡社「古唐津 下 水町和三郎著」の18番に同手が斑唐津茶碗として紹介されております。図録所載品も、当作品と同様、呼継があり、サイズ感も近く、内部に黒釉、外部に斑釉が施されていることも同様です。違いを挙げるなら、やや楕円になった姿、そして何といっても先述のとおり、青い炎がめらめらと揺らいでいる景色に他なりません。見込みはしっかり黒く、茶映りも良いことでしょう。唐津の窯におわす、火の神さまだけが気まぐれに産み出してくれる、稀有なるものとして是非お勧めしたい作品です。
御売約ありがとうございました。