東寺の所蔵する竹製華籠が、明治期ごろでしょうか、民間に流れたものです。桐箱に奈良博にゆかりのある愚道氏の墨書きが認められます。桐箱の蓋表に「竹編製華籠一口」、蓋裏に「本品ハ鎌倉期に(正しくは江戸期)造られたる竹編製の華籠にて東寺伝来という 昭和五十年五月 愚道」と記されます。
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京都国立博物館で1995年に開催された「東寺国宝展」図録に当品と同じものが出展されており、六番目の画像をご参照ください。以下に図録説明文を転用いたします。
法要の中で、如来を奉請する偈を唱え花びらを散らす散華供養がある。華籠は、この散華を盛る籠。伝存例は銅板製が多いが、正倉院宝物中の華籠など竹で編んだものが本来で、本品もこのような古例にならっている。愛知県性海寺の鎌倉時代の華籠に似た籠目で(※このため愚道氏は鎌倉期と箱書きしたのでしょうか)、蘇芳染、漆塗。曲物の華籠櫃に正保四年丁亥(1674)の墨書銘があり、制作時期が知られる。
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きわめて繊細な手仕事により仕上げられた仏教工芸作品です。そして東寺伝来品であることも得難く、嬉しい。楚々とした華などを盛り、客人の目をうるおす花器として、日々ご活用くだされば幸いです。
御売約ありがとうございます。