とても珍しい磁州窯系の白釉八角梅瓶です。中国陶磁の中においても、磁州窯ほど、日本人の感性に親しむものはありません。この作品を眺めると、あらためてそう思わされます。型成形による意匠は、上下に如意頭紋、肩に算木紋、胴部には詩歌と花紋を八面毎に施され、じつに手の込んだ、それでいて大らかで高雅な作風です。古渡の伝世品と思わしき、とても艶やかでとろりとした白釉の肌が美しく、コンディションも申し分ない。また、寸法も使い勝手がよく、好ましいですね。寸法だけではありません。胴部の詩歌は「春遊芳草地 夏賞緑河池 秋飲黄菊酒 冬吟白雪詩」とあり、四季おりおりの風流を楽しむ心が込められている。正面を選ぶことで、すべての季節に用いることができる花入です。まさに得難き唐物花入と申せます。名古屋の名店、長谷川長冝堂が大正時代に取り扱った作品です。