瀬戸 石皿

石皿は江戸後期に瀬戸で焼かれた、厚みのあるどっしりした施釉陶器の皿です。その名の由来は、石のように頑丈であることから、あるいは朝鮮の石製の器物に似ているから、などと言われておりますが、明確ではありません。旅籠屋や煮売屋、あるいは民家で用いられたらしく、伝世の味わい深い作品が今日にも残されております。

「民藝」の提唱者である柳宗悦は、瀬戸の石皿を「陶器の絵でこの位の美しさを持つものは、日本のやきものでは他にない」とまで賞しており、彼が発行した「工藝」という限定雑誌の創刊号は、まさに瀬戸の石皿特集であったようです。民衆のために焼かれた純然な雑器たる石皿だからこそ、自由闊達で素朴な絵付けがそこに生まれ、それは時として、一流の画幅にも劣らぬとさえ思わせるような作品を生み出すことができたのかもしれません。

この度紹介するのは、柳の図が描かれた石皿です。柳は比較的好まれた図案であったらしく、しばしば散見されるものではありますが、この石皿は珍しいことに、幾条かの枝垂れた柳の枝に焦点を当て拡大した、非常にデザイン的な構図を持つもので、洒脱の一言に尽きます。鉄絵と山呉須の筆致も勢いがあって迷いなく、いささか贔屓目ながら、名画にも負けぬ、とさえ感じてしまいます。このデザインならば、絵付けによる上下の向きも気にならず、また季節もさほど選ぶことがありませんから、使い勝手にも優れます。伝世の肌も味わいが良好で、これぞ石皿の優品である、と言いたくなる作品だと思っております。

三田村善衛氏の著書「石皿で候」に同様に枝垂れ柳の枝を描いた作品が紹介されておりますので、参考として最後の画像に追加しました。所載作品は余白を活かした写実的な柳葉の絵ですが、それに比べると当店の絵付けは実にデザイン的で、優劣ではなく、あとは好みの問題でしょうね。

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