じつに珍しい藍九谷の瓶です。このような砧形の藍九谷花入は初めて見ました。楽しいデザインの流水文は、大胆に渦巻を描きながら、下へと流れてゆきます。その水際には花がところどころ咲き誇ります。流水のあわいの奇岩に聳え立つのは生命感あふれる松の木。山水図を凝縮し、流水を主題にデフォルメした絵付けと申せましょうか。まことに珍品というべき品です。
伝世品なれど、状態もすこぶる良好で、高台畳付にハマグリが一ヶ所ある他は完好です。
酷暑が続きます昨今、こちらの珍品は少しでも見目に涼を与えてくれる花入として活躍してくれるのではないでしょうか。