四月八日は釈迦の生誕を祝う花祭「灌仏会」です。もし釈迦が生まれていなかったら、この日本という国の文化は、どれほど味気ないものになっていたことでしょうか。
それはさておき、凛々しい顔立ちに惹きつけられる古銅誕生仏です。室町時代の作品ながら、それ以上の古格を感じさせる青年風の充実した体躯や、個性を有しながらも端正で秀でた面貌は、特筆に値します。一味違う誕生仏と言えましょう。
蓮華座の敷茄子より下が欠損しております。その付近に金箔がわずかに残存しており、当初の輝きを偲ばせます。全体的にウブな煤の膜をまとい、その向こうに中世独特の赤黒い銅肌が所々覗いております。
シンプルな美しい木目の飾台はモダンな暮らしにも馴染みます。
ご売約となりました。まことにありがとうございました。