南宋の青磁を彷彿とするような、美しい青磁色を誇る高麗青磁の素文碗です。やや小ぶりながら、ほどよいサイズ感です。口縁を内に窄めた、托鉢鉢に似たやさしい形状は高麗独特ですが、この形は盃に多く、茶碗サイズとなると少ない珍品です。
秘色青磁とも呼びたい美しい釉は、宝石さながらの輝きを呈しております。高麗青磁は美術館にあるものも、須らく発掘品ですが、カセもなく艶やかでうれしい。高台は露胎で、目玉のような円状の刻線が見られるのも楽しい見どころ。ごらんのような傷(下記参照)はありますものの、それを上回る魅力をそなえた茶碗だと思っています。夏の喫茶にも涼しげで、また秋冬においても内窄みの優しい形状が喜ばれる、オールマイティな一碗です。
ニュウが四本、うち二本は本金の押さえ補修を施しています。同様にソゲの金漆補修、ノミホツの金漆補修が一か所ずつ見られます。戦前の桐箱に収まっております。
ご売約ありがとうございました。