（SOLD）古備前 茶入

これぞ古窯といった釉の景色の古備前肩衝茶入です。いわゆる伊部手で、暖かな赤みのある土味の肌に、金胡麻が幾重にも降りかかり砂状に固まり、部分的に白くなり、肩の部分で自然と剥けているさまは、何ともいえぬ妙趣をたたえ、小さな器体の中に、大きさを感じさせる奥行きの景色を持たせております。

口縁の半分が金漆補修となっておりますが、金胡麻の中なのでさほど気にならず、かえって華を添えているように思えます。江戸前期くらいありそうな、とろとろの二重桐箱に収められており、茶人の箱書きなどはないのですが、そうしたものに価値判断を頼る者を拒むかのような、厳しい魅力を持った、おもしろき孤高の茶入だと思います。糸切の底部には窯印が刻まれております。

ご売約ありがとうございました。