古染付釉裏紅城郭文皿の五客組です。凱旋の帰城を果たさんとする馬上の人を、従者が門へ導きます。旗が風にたなびき、雲は走り、丸い月が浮かぶ。何とも味わいある図です。城郭内にて宴席が待つのでしょうか。物語の一説さながらの絵付です。
ところどころ差された釉裏紅や、縁取りの鉤状の文様もたいへん効果的な作品になっています。古染付の皿は数あれど、なかでも釉裏紅は希少です。それが五客揃いというのは、高く評価していただけるポイントと感じます。
五客いずれにも虫食いが見られます。うち一客に虫食いか浅いソゲか微妙なものが一箇所ございますが「虫食い」をこそ侘びた風情と茶人に喜ばれた古染付です。無傷と言ってしまって良い程度と私は思っておりますが、神経質な見方をされる方はその点をご承知置きください。
出光美術館の「古染付と祥瑞」展図録に、同手の作品が出展、掲載されております。
御売約ありがとうございました。