(SOLD)古萩茶碗

江戸時代初期、萩藩初代藩主である毛利輝元の命を受けた、朝鮮人陶工らによって開窯された萩焼。その初期の作風にあたる井戸手の茶碗です。ごらんのように、たっぷりした大ぶりのサイズ感、おおらかな作風、茶映りのよい枇杷色の肌が、高麗茶碗さながらの姿です。

どっしりした竹節高台から、口縁へなだらかに立ち上がる姿は、自然体そのもの。作為的な茶碗が多い萩焼ですが、このように初期の井戸手は、李朝陶工の手になるためか、おおらかで面白いものです。

全体的に薄めにかけられた枇杷色の釉は、わずかに雫状に流れた箇所が白く、侘びた景色に華を添えています。肌の全体に、井戸や熊川などの高麗茶碗を思わせるような微細な貫入が見られ、ほんのり染みて景色になっております。萩の七化けと言われるように、まだまだ変化していくことでしょう。

渦巻高台の中心に鋭く兜巾が立ち、萩ならではのざっくりした縮緬皺の土味が賞玩に値します。高台脇のヘラ目も古格を感じさせる景色になっています。畳付きに七か所の目痕がありますが、天で焼かれたため見込みには目痕がなく、わずかに細かいフリモノが見られます。

長年、古い家の蔵の中で眠っていたらしく、江戸時代のとろとろの桐箱は痛んでおり、質素な有様です。しかしこのウブさが、骨董の茶碗としてかえって魅力的ではないかと個人的に思います。長年使われずスネて、最初はそっけない肌をしておりましたが、水をくぐらせ、何度かお茶を立てると、すぐにうるおいを取り戻し、活き活きした表情になってきました。茶碗は生き物のようだなと改めて思いました。…古来より、一楽二萩三唐津といわれるとおり、侘茶の美意識にかなう代表的な古萩茶碗です。使いこめばもっと育ち、風格を増してゆくことでしょう。日々の喫茶にお使いいただける方におすすめしたい一碗です。

当商品はご売約済となりました。誠にありがとうございました。

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