近年複数の美術館で展覧会を催され再評価著しい小原古邨の版画です。雨降る中を愛らしい雀が三羽たわむれる、一瞬の生命を克明に切り取った作品です。
今年四月平凡社より刊行された「小原古邨 海を越えた花鳥の世界」に同版画が掲載されております。以下にその解説文を引用します。
(細やかな雨はバレンを動かした跡、灰色のあてなしぼかしが雨脚に強弱をつける。雀の羽には雲母がほどこされ、わずかに輝く。すでに1904年の目録に紹介され、本目録※では図版掲載作品となった――※ボストンの美術商、松木文恭による目録「日本美術・画材目録【Culture of Japanese Artists’ Materials】」。)
シンプルで品のある額装が作品をよく引き立てており、モダンな空間にも似合います。紙に時代なりのわずかなシワがあります。また紙裏にえんぴつでうっすら数字が書かれております。いずれも鑑賞のさまたげになるものではありません。
ご売約となりました。誠にありがとうございました。